歯周病と骨粗鬆症
歯周病を増悪させる原因の一つに骨粗鬆症があります。歯は、顎の骨の中にしっかりと植わっているがゆえに、機能しています。骨粗鬆症は、骨密度が低下し、骨がスカスカになって骨折しやすくなりますが、歯を支えている骨も同様になり、歯周病をより深刻な状態にしてしまいます。骨粗鬆症の患者さんは、健康な人に比べ、3倍も多くの歯を失い、また全身の骨量が1%減少すると歯を失う危険が4倍増すとの報告もあります。
骨の量は、20歳ぐらいに最高量に達します。その後壮年期までほぼ維持され、女性では閉経を境に急激に骨量は低下し、男性でも、少しづつ減少していきます。閉経すると、エストロゲンという骨代謝に関係するホルモンが10分1以下に減少するので、急に骨粗鬆症が進行するのです。男性は65歳を過ぎてから徐々に骨量が減少していきます。骨量が減少しても自覚症状はないので、ある日些細なことで骨折してはじめて気がつくこつが多いようです。骨折の場所は背骨やももの付け根の骨が多く、特に後者では、治療が長期にわたり、この骨折をきっかけに寝たきりになることも少なくありません。
それでは、骨粗鬆症を防ぎ、歯を失う危険を減らすにはそうすればよいのでしょうか。
先ず第一に、20歳までに骨を多く作っておけば、同じ減少率でも全体としては多くの骨が残っており、老年期に出現する骨粗鬆症が予防できます。発育時には、一日900mgのカルシウムを摂取することが必要です。自分がすでに発育時を過ぎてしまった方でも、次世代のためにこの数値は覚えておいてください。出産や搾乳期には1000から1100mgの摂取が必要です。また、骨粗鬆症が考えられる年齢に達した方ならば、一日1500mgはカルシウムを摂取する必要があるといわれています。
日本人の成人が一日に摂っているカルシウムの平均は、500mg強で、厚生省が成人一日あたりのカルシウム必要量は600mgとしており、不足していると言わざるをえません。カルシウムはビタミンDやKと一緒に摂ったり、酢や油を使って調理すると吸収率が高まります。そして、インスタント食品や加工食品に多く含まれているリン酸塩はカルシウムの吸収を妨げます。またタバコ、アルコールやカフェインもカルシウムの吸収を妨げ、骨粗鬆症の増悪因子となります。逆に日光浴や運動は骨粗鬆症の進行を抑えます。閉経を迎えた女性は、定期的に骨塩量を測定する検査を受け、値が低ければ、エストロゲンの補助療法など適切な治療を受けることが、さまざまな危険から身を守ることになります。
若い時に無理なダイエットや、インスタント食品や加工食品に偏った食事をせずに、タバコやアルコールなどもほどほどにして、カルシウムを充分に正しく摂ってよく運動をすれば、30年後40年後に快適な生活を送れるということでしょう。
最後にカルシウムやビタミンD,Kを多く含む食品をあげておきます。
食品名/量 | カルシウム含有量 | |
牛乳 | 200ml | 200mg |
低脂肪牛乳 | 200ml | 275mg |
スキムミルク | 大さじ3杯 | 200mg |
チーズ | 30g | 200mg |
豆腐1/4丁 | 75g | 100mg |
高野豆腐1枚 | 15g | 90mg |
納豆小1パック | 50g | 45mg |
丸干しイワシ | 中1尾 | 100mg |
ちりめんじゃこ | 10g | 220mg |
干し桜海老 | 10g | 200mg |
干しひじき | 10g | 140mg |
小松菜1/5束 | 60g | 175mg |
チンゲン采 | 1株 | 140mg |
切干大根 | 20g | 95mg |
ごま | 大さじ1杯 | 70mg |
アーモンド | 10粒 | 30mg |
アイスクリーム | 小1個 | 100mg |
鮭、カジキマグロ、きのこ、うなぎ、いわし、卵、牛乳など |
納豆、ほうれん草などの緑色野菜、海藻など |